フミン酸

弊社は泥水とフミン酸では日本でトップクラスの会社です。
フミン酸とは、日本語では「腐植酸」といいます。
あまり、一般にはなじみがないかもしれません。

 

そもそも、「腐植」というのは、辞書によると次のように定義されています。
(1)土壌中の動植物の遺体が微生物のはたらきによって分解され、その過程でできた有機化合物など、土壌中の有機物の総称。土壌有機物。
(2)土壌に特有な黒色または暗褐色を呈するコロイド状有機高分子化合物群。土壌有機物が複雑に分解・重合を繰り返して生成する。腐植物質。腐植質。
(三省堂「大辞林 第二版」より引用)
(1)は広義の腐植、(2)は狭義の腐植に当たりますが、ここでは、(2)の定義を使うことにします。

フミン酸は腐植質を構成する成分の1つで、1820年代にドイツの学者が腐った植物体、つまり腐植(フミン)質をアルカリで抽出して得られた黒色の液体を酸性にしたところ、褐色のどろっとした沈殿物が得られたので、これをフミン酸と名づけたのだそうです。

フミン酸の起源

フミン酸は自然界でつくられた天然のものですが、その起源は大きく二つあります。
一つは辞書に定義されているように、死んだ動物や枯れた植物が土に埋もれて、土壌中の微生物の働きによって分解されていく過程でいろいろ変化してできるもので、これを土壌フミン酸といっています。

 

もう一つは石炭系フミン酸といって、大昔の植物が地中に埋もれてできた石炭から得られます。石炭生成の初期で炭化があまり進まない段階でできるものと、いったん石炭になったあと風化(気温の変化や水による侵食、あるいは空気中や土壌中の化学物質などによって形態が変化すること)が進む段階で生成するものに分けられ、テルナイトが扱っているのは石炭系、特に風化炭を原料とするものです。

 

土壌系と石炭系では多少構造の違いなどはありますが、どちらも起源は動植物だから基本的な性質は似ています。
ここでは分かりやすく、土壌フミン酸を例にして説明します。

土壌フミン酸は文字通り、地上の土壌中に存在しますが、具体的には、動植物を起源とする有機物質の多いところ、いわゆる肥沃な土地といわれているところに多く存在します。

まず、苛性ソーダなどのアルカリを溶かした水溶液中にフミン質の多い土を入れて、よくかき混ぜたあと静置し、固形物と上澄みに分けます。フミン酸はアルカリに溶けるので上澄みをろ過などで固形物を除いて上澄み液を別の容器に移し、これに塩酸を加えて水溶液を酸性にすると、茶褐色の物質が沈殿してきます。これがフミン酸です。

 

フミン酸は酸性水溶液には溶けません、アルカリには溶けるが酸には溶けないというのがフミン酸の特徴です。
このとき実はこの水溶液中には別の物質が溶けています。つまり、アルカリにも酸にも溶ける物質があります。
これをフルボ酸といってフミン質を構成する物質の1つです。

 

この他にも両方に溶けないフムス質というものもフミン質を構成する成分の1つといわれています。

フミン質と言うのは、簡単に言えば図のようにフミン酸、フルボ酸、フムス質からなっています。
フルボ酸やフムス質などはフミン酸ほど研究されていないので、実態はよくわからないといわれています。

酸は塩酸や硫酸などの無機酸と、お酢の主成分である酢酸、レモンなどの酸味であるクエン酸などの有機酸に分けられ、フミン酸はその起源からいって有機酸の一種といえます。

 

今挙げた酸は、それぞれ分子構造が明確にわかっていて、単一の物質なのに対し、フミン酸というのは特定の分子構造の物質を指しているのではありません。

 

つまり、化学構造も単純ではなく複雑で、しかもいろいろな有機化合物の混合物というわけです。
もともと動植物の遺体が原料なのでいろんな化合物があり、それらが微生物による分解を受けたり、また別の物質に変化したりと、分解・合成を繰り返してできたものなので複雑になるのはやむをえないのです。
具体的には芳香族(ベンゼン)環などをたくさん持ち、酸性を示すのはカルボキシル基やフェノール性の水酸基を主体とする多塩基性の高分子有機酸群を含みます。

 

複雑になるので、別途 pdf ファイルにまとめました

フミン酸の用途

フミン酸はどんなところに使われているのか。
製品としては、フミン酸とそれを苛性ソーダと反応させてできたフミン酸ナトリウムがあり、これらは大きく分けて工業分野と農業分野で広く応用されています。
工業分野では、フミン酸は石油掘削用の泥水の添加剤としても使われています。
フミン酸の粘性を低くし、流動性をよくするという性質が他の添加剤の分散状態を維持し、坑壁の崩壊を防止します。潤滑性がよく、熱的にも安定で容易に汚染されません。

工業分野での利用法、詳しくは、pdfファイルをご覧ください。

フミン酸およびその塩の工業的応用例

  1. 排水中の重金属類の除去
  2. 硬水の軟水化
  3. セメント添加剤(原料の分散性向上、粘性低下効果)
  4. 陶器の成形性、離型性の向上
  5. 鉛蓄電池の陰極板添加剤
  6. バインダー(鉄鉱物粉、ノコギリ屑を板状にする際に使用)
  7. 染料(硫酸染料、アゾ染料など)の原料
  8. 醸造工業におけるイースト菌(yeast-cell)の繁殖増進
  9. 薬剤(血止め剤、解熱剤、炎症防止剤、筋肉更生機能剤など)

フミン酸は、亜炭や褐炭を硝酸という強い酸で酸化分解して工業的に作ることも出来ます。
亜炭や褐炭というのは、大昔の植物が地中に埋もれて炭化したものですが、石炭ほどには炭化が進んでいない、いわば中途半端なもので、炭化の過程でできるフミン酸も含まれており、構造的にもフミン酸に近い物質がたくさん含まれています。これを硝酸で処理すると、酸に溶けずアルカリに溶けるフミン酸が得られるというわけです。

硝酸を用いているため、副反応としてニトロ化という反応が起こるので、こうして得られたフミン酸はニトロフミン酸と呼んで、天然ものと区別しています。

肥料取締法により、腐植酸肥料としてはニトロフミン酸のアンモニウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩だけが認められており、農林水産大臣に登録申請しないと肥料としても販売できません。

 

フミン酸の具体的効果

土壌改良効果、成長刺激効果、そして滋養供給効果の3つが主なものです。
簡単に言えば、固くなってしまった土に、たくさんの隙間をつくり、植物の根が伸び易くします。

植物ホルモンの分泌を促して活性化し、呼吸や酵素活性を高めます。

 

植物にとって必要な栄養分、窒素、リン酸、カリをフミン酸肥料はすべて含んでいる上に、それらを効率的に植物に供給できる作用を持っており、フミン酸肥料を施すと、発芽が促進され、根がよく伸び、枝や葉がよく茂り、幹が強くなり、さらに苗木から結実までの期間が短縮されます。

 

このほか、家畜などの新陳代謝を促進するので飼料添加剤としても使えます。食欲が増大するので牛や豚では体重が増加したり、鶏の産卵量が増えたりします。

フミン酸関連製品

このようにフミン酸はいろいろな分野で有効なものですが、それ以外にフミン酸の特性を活かした新しい用途開発も行われていいます。
たとえば、テルナイトではフミン酸を含む農業用の液体マルチを最近開発しました。

 

今、畑で有効性の試験を行なっています。
マルチとは、農家の畑によく見られる黒いビニールシートのことで、冬から春先にかけて地温を高め、芽だしや生育を速めるのに使われています。
ただ、ビニールシートにはいろいろな欠点があります。
まず、穴を開けなければならない。収穫後は、はぎとらなければならない。ほとんどが塩化ビニール製なので、焼却処分すると猛毒のダイオキシンが発生する可能性があるなどです。
これに対して液体マルチには、これらの欠点がありません。収穫後は畑に鋤き込めばよいので、廃棄物が出ず、環境にも優しい製品です。

 

春先の人気野菜、アスパラガスは春先に芽を出し、その成長した若芽を収穫します。
それだけに出来るだけ早く芽を出させ大きくして出荷すれば、商品価値が高くなるはずなのですが、アスパラガスというのはどこから芽が出てくるかわからないので、従来のフィルム状のシートではマルチ栽培ができませんでした。
その点、液体マルチであれば、アスパラガス自身が突き破ってくるので、農家としてはメンテナスフリーで商品価値の高いものを収穫できるというメリットがあります。

液体マルチは水で薄めて噴霧器などで畑の土の上に直接散布します。液体なので薄めるのも簡単。
噴霧器も特殊なものは必要なく、農家で普通に使われている動噴(動力噴霧器)が利用できるので、経済的です。

噴霧後、乾いたら畑の土の表面に薄くて黒い被膜ができ、これが太陽熱を吸収するとともに熱の放散を防いで、地温を上げるのです。

 

よほどの土砂降りでない限り、流れ出す心配もありません。
また、経口毒性は調べてあって、「毒性は認められない」という結果が出ていますし、薬剤に敏感な小松菜の発芽にも影響がありませんでした。

ビニールシートのように雑草を抑えられないのが欠点と言えば欠点ですが、実際に使った農家の人の話では、今のままでも雑草が繁茂する前に収穫を終えてしまうので、そんなに気にならないということを聞いています。

アスパラガス以外にも有効な作物が考えられるので、これからもこうした試験を各地の農協や農業試験場の協力を得てデータを蓄積しています。今のところ、上々の評判を頂いております。

 

家庭菜園等でも簡単に使えます。さっきも言ったように、噴霧するのに特別の噴霧器は要らないため、手押しの噴霧器で十分です。じゃがいもの種芋を植えたあと散布しておけば、他の人より早く新じゃがを食べられるかもしれません。

このほかにも、テルナイトではフミン酸の特性を活かして新しい分野への応用研究も積極的に行なっておりますので、まだまだ応用範囲は広がっていくことが期待できます。

 

もし、分らないところやもっと知りたいことがあれば、遠慮なく質問してください。